仕事恐怖症
- 斎藤知之
- 11月13日
- 読了時間: 3分

仕事恐怖症とは
仕事恐怖症とは、正式な診断名ではありませんが、仕事に対して不自然に強い不安や恐怖を抱くものです。
目次
仕事に拒否反応
不安や恐怖があまりに強いと、体に拒否反応が生じます。たとえば、仕事に行こうとすると、吐き気、動悸、口が乾く、冷や汗、息が苦しい、手が痺れるなどの症状が体にあらわれます。こうしたからだの症状は、自律神経の働きによるものなので、自律神経症状とも呼ばれますが、自律神経そのものの異常ではありません。あくまで原因は強い不安や恐怖などの感情です。
不合理に強い不安
仕事恐怖症とは、不安や恐怖が理屈に合わないほど強いとか、不合理なほどに強い場合を指します。たとえば、職場であまりにも理不尽なパワハラにあい、そのせいで仕事に行くのが怖いようなケースでは、不安や恐怖を感じて当然の状況です。このように、誰もが不安や恐怖をいだくような状況であれば、たとえ強い不安や恐怖を感じても、理屈に合わないわけではなく、不合理なわけでもありませんので、仕事恐怖症とは言いません。本来はそれほど不安や恐怖を感じるような状況ではないのにもかかわらず、強い不安や恐怖を感じる場合を仕事恐怖症と言います。
仕事恐怖症の診断名
仕事恐怖症というような症状が出た場合、持続期間によって診断名が変わってきます。仕事恐怖症の症状が短期間であり、一時的なものの可能性がある場合は適応障害と診断されることが多いです。適応障害とは、ストレスにより不安症状、自律神経症状、抑うつ症状などの症状が出ることを意味しますが、人によって症状は異なります。適応障害で仕事恐怖症の症状が出ることはめずらしくありません。適応障害は、原因となるストレスから離れると症状が良くなります。ただし、不安症状は再発しやすいので、良くなったと思ってもすぐに再発しないのか注意が必要です。
仕事恐怖症の症状が6ヶ月以上続くようだと、適応障害ではなく、限局性恐怖症や社交恐怖症、広場恐怖症などの別の病名として診断されるようになります。ほぼ毎回、仕事に行こうとすると不安や恐怖を感じたり、からだに症状が出たりして、仕事に行けなかったり、出勤を避けるようになるような状態が半年続いたら、休んだだけでは治らない可能性が高いです。症状が続く場合は、治療も長い期間行う必要があります。焦らず段階的に仕事に行く練習をしたり、SSRIなどの薬物治療を始めることが勧められます。
自己分析が大事
仕事恐怖症の診断名については、本質的な問題ではないため、気にしなくて大丈夫です。病名や診断名よりも、自分の心の中でどのような現象が起きているのか、深く自己分析して言語化することが大事です。自分がストレスに感じているものは、仕事そのもののプレッシャーなのか、職場の人間関係なのか、通勤途中の人混みなのかなど、仕事の恐怖の対象をくわしく分析していくようにしてください。不安や恐怖の対象がなんだか分からない人は多いのですが、そうなると、どう対応していいかも分かりません。不安や恐怖の症状を治すために、自分の心の分析が大切です。


