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心の薬の合う合わない

  • 斎藤知之
  • 2 日前
  • 読了時間: 3分
心療内科の薬で合う合わないの判断方法

心療内科や精神科に通院する人の中には、「この薬は合わなかった」と言って自己判断で薬を中止する方が少なくありません。たしかに、薬には自分に合う、合わないということがあります。しかし、心の薬の合う合わないを判断するには、ある程度の期間が必要です。これについて解説いたします。


精神科や心療内科では、心の状態を安定させる薬を処方することが多いのですが、これにはすぐに効く薬と、時間がたってから効く薬があります。


時間がたってから効く薬には、抗うつ薬、抗精神病薬、気分安定薬などがあります。抗うつ薬はうつ病や不安症に効く薬、抗精神病薬は統合失調症や興奮状態に効く薬、気分安定薬は双極症(双極性障害)の薬です。こうした薬は数週間ほど毎日使い続けると効果が出てきます。逆に言えば、はじめの数週間は効果がほとんど無いけれども使い続けないといけません。数日という短い期間で中止すると、効果があったのか、なかったのかは分かりません。


薬は、最初の数日に副作用が出やすいものです。たとえば、SSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)というタイプの抗うつ薬は、最初の数日間に吐き気や下痢などの副作用が出やすいです。この間は、副作用はあるけれども、効果がない状態になります。ただ、副作用はほとんどの場合、1週間ほどで無くなっていきます。つらいのは最初だけということがほとんどです。


病院やクリニックで薬をもらい、1-2日ほど使用して副作用を感じると、「この薬は合わない」と止めてしまう方は多いものです。たしかにそうなのかもしれないのですが、おそらく続けて使っているうちに副作用はなくなり、遅れて効果が出てくることが多いのです。つまり、本当は合う薬だったのにもかかわらず合わない薬だと誤解してしまった可能性があるわけです。あらかじめ、数週間は使い続けるものと思って使うと、このような誤解は減ると思います。


即効性のある薬もなかにはあります。ベンゾジアゼピンというタイプの抗不安薬や睡眠薬は飲むとすぐに効果が出てきます。効果がすぐに実感できるので、「合う薬」だと認識することができます。ただし、ベンゾジアゼピンは効果が早い薬ではあるものの、数か月連続して使用すると依存性が出てきて、将来的に中止しにくくなるという副作用があります。一方で、効果が数週間後に出るような薬には依存性がないので、将来のことを考えると効果が遅い薬の方がメリットが高いのです。


このように、薬の合う、合わないを判断するには、ある程度の期間が必要になることが多いです。あせって短期間で判断すると、損をすることになりますので、あらかじめ薬の効果が出る時期を知っておくと良いと思います。

 
 
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